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“HAVE FAITH IN YOUR OWN BAD TASTE”
「自分の悪趣味に信念を持とう」

 

まるで『スーサイドスクワッド』に登場するハーレイ・クインのポリシーみたいだが違う。これは2014年にロンドンで創刊されたZINE『Polyester』のスローガンだ。

 

Polyester_zinePolyester ISSUE FIVE

 

ZINEとは、「手作り雑誌」「リトルプレス」「同人誌」「自費出版誌」といったもの。まあ、それをどう呼ぼうが自由だ。
ここ数年、DIYのブームは雑誌にまで及んでいる。ZINEは海外だけでなく、日本でもじわじわと人気を博している。

僕も昨年2015年に1つ、ZINEをつくった。
まったく売れなかったし、なんも反響もなかったけど、レイアウトを組んでキンコーズで印刷して、自分たちでホチキスで留めて、完成したZINEをOPP袋に1つ1つ入れていく。その一連の作業だけでもZINEづくりは最高に楽しい思い出だ。

とはいえ、次ZINEをつくるときは印刷代を稼げるくらいには売りたい。前回は完全に赤字だったので、これを毎回続けるのは正直ツラいものがある。では、どうすればよいか。

今回は全国のZINEクリエイターの皆さまのためにも、ロンドン発のZINE『Polyester』のヒットの理由にせまりたい。

 

 

ロンドン発の注目ZINE『Polyester』とは

ZINE『Polyester』は2014年、当時学生であったアイオン・ギャンブル(Ione Gamble)の手から生まれた。インタビューで、アイオンは『Polyester』をつくった理由をこう語っている。

I decided to start Polyester as I wasn’t satisfied with other fashion and pop culture publications and wanted to create content I actually had a vested interested in.
「Polyesterをはじめたのは、他のファッションやポップカルチャーの出版物に満足していなかったから。それだったら、私が本当に興味を持っているものをコンテンツにしたかったの」
 

Meet Ione Gamble: Editor-in-Chief of Polyester Zine

 

そして冒頭で紹介した “HAVE FAITH IN YOUR OWN BAD TASTE” をスローガンに現在、『Polyester』はISSUE FIVE(5号)まで発売されているが、なんと前号の第4号の表紙を飾ったのはタヴィ・ゲヴィンソン。15歳にしてForbesの「30UNDER30」(30歳未満の重要人物)に選ばれ、ファッションブロガー、女優、Webマガジン編集長などと多数の顔を持つカリスマだ。
5号では、ミュージシャンのHANAがダブルカバーの1つで表紙を飾っている。

さらに『Polyester』は、 “12 cool indie magazines for women who know better” (女性が知っておくといい12のクールなインディーズ雑誌)として世界のZINEと並んでメディアに取り上げられるほどに成長している。

わずか5号で、なぜ『Polyester』はここまでヒットしているのか。
知りたい。




 

ZINE『Polyester』がヒットした5つのポイント

 

 

1. とがりまくった内容に仕上がっている

ZINE『Polyester』は “フツー” じゃないもの、そしてそういったコミュニティの人たちにウェルカムだ。
『Polyester』が創刊された2014年は「ノームコア」といった “超フツー” を表現するミニマルファッションが流行した。しかし『Polyester』はそれに逆行し、ファッション業界において「くだらない」「やり過ぎてる」と思われている領域を表現する。

「かわいい」「トレンド」といった従来のファッション雑誌が取り扱うテーマではなく、「フツーじゃないもの」「悪趣味なもの」といった尖りまくったテーマを扱い、ファッションという切り口から「自分」というアイデンティティを探求するマガジン、それが『Polyester』がウケた理由のひとつかもしれない。

 

2.寄稿者を集め、コミュニティとして機能している

編集長アイオン・ギャンブルは、こう語る。

I wanted it to be a space where people could discuss cute clothes or films but also more serious social and political issues.
「わたしは、かわいいファッションや映画だけでなく、深刻な社会問題、政治的な問題を議論できる場所にしたかったの」
 

Meet Ione Gamble: Editor-in-Chief of Polyester Zine

 

彼女は、ただのメディアとしてではなく、コミュニティとして『Polyester』を機能させることに成功した。

なぜ機能したか。答えは単純、参加を呼びかけたからだ。
『Polyester』は常にライター、カメラマン、スタイリスト、イラストレイターを募集している。それは、ただ『Polyester』の誌面を埋めるためだけではない。参加者それぞれが自身のアイデンティティを発表し合う場所を提供するためである。

書籍『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』にも書かれていたが、まさに “共創” ―― Co-Creation ―― を体現するZINE、それが『Polyester』なのだ。

 

3. Instagramを活用する

ZINEは世界観を楽しむ最高のツールだろう。
大衆紙のように様々な広告主のことを気にせずに、好きなことを思う存分表現できる。そして、世界観を表現するもう1つの最高なツールがある。 Instagram(以下、インスタ)だ。

『Polyester』のインスタアカウント(@Polyesterzine)は9月現在、4.8万フォロワーを有する。ZINEというアナログな領域において、インスタというデジタル領域で上手にファンを抱え込んでいるのは、マーケティングとして非常に強い。創刊当時20歳だったアイオン・ギャンブル、デジタル・ネイティブ世代らしい素敵なアプローチである。

もしZINEをつくるのであれば、ZINEと同じ世界感をインスタでも表現しよう。

 

4. ローンチパーティーを開く

PARTY! PARTY! PARTY!
パーティほど楽しいものはない!

僕も先日、『RAINBOWSHAKE』というラフォーレ原宿に期間限定でオープンしたポップアップショプのレセプションパーティに参加してきたが、非常に楽しかったし、頼まれてもいないのにFacebook、Twitterで友人やフォロワーにも教えてあげた。

 

『Polyester』は各号が仕上がると、ローンチパーティを開催する。パーティには200名近くもの人が集まるそうだ。

この仕事をしていて良かったと思えるのは、新しい号のローンチパーティにたくさんのひとが来てくれて、皆がそれぞれにその様子をInstagramにアップしてくれたりすることで『Polyester』というプロジェクトの一部になってくれているのを実感できるとき
 

Fashionsnap.com

 

いまや海外ではマーケティング手法として「イベントマーケティング」なるものが盛んらしいが、読者そして関係者たちとリアルにコミュニケーションをとれるイベントはやはり有効的だろう。
さらに参加者たちがパーティに満足してくれれば、SNSでどんどんシェアしてくれて、どんどんZINEのブランドが強化されていくのだ。

 

5. あなたがどう思おうが、まずつくってみる

最後に重要なのが、こちら。
「まずはつくってみる」ということ。

I think you’ll always be surprised at how supportive people are and how many people will want to be involved. I think the scariest thing is starting! So I’d say just start even if you feel silly at first.
「いざはじめてみれば、サポートしてくれる人、そして一緒にやりたいという人がたくさんいることに驚くと思うわ。一番しんどいのは、はじめること。どんなにバカげてると思っても、ただはじめてみればいいのよ。」

 

Meet Ione Gamble: Editor-in-Chief of Polyester Zine

 

僕の好きな映画監督、ウディ・アレンも「成功の80%は、その場に現れること」と言っているが、まさにそのとおりだと思う。いざはじめてみれば、思いのほか良いリアクションをたくさんもらえることもある。協力者も現れてくれるだろう。

「自分はこういうふうにしたい!」という強い信念さえあれば、意外とうまくいくものだ。僕も、次回作のZINEをずっと「つくりたい」と思い、そして思ったまま、この1年間が過ぎてしまった。よし、つくろうじゃないか。

 




 

おわりに

ここまで書いておいて、手元に『Polyester』がないのはいかがなものか。
「£5.00」(5ポンド)ということで、さっそく注文してみた。海外配送をしてくれるのか不安だが、まあなんとかなるだろう。

『Polyester Magazine』購入ページ

 

そして、今後も「雑誌をつくろう」というテーマで、ZINEづくりに関する情報を発信していこうと思う。
また最後に、『Polyester』や編集長アイオン・ギャンブルに興味を持たれた方のために、参考になるリンクをご紹介して終わりたい。

 

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